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ピロリ菌

ピロリ菌とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは、胃の中に住む細菌の一種です。胃酸や免疫がまだ成長しきっていない子どもの口から感染し、胃に慢性的な炎症を起こします。近年では衛生状態が向上したため、感染者の数は減りつつあります。しかし、まだ感染者数は存在しており、その数は推定3000万人いるのではないかと言われています。
感染すると胃潰瘍や萎縮性胃炎などの疾患にかかりやすくなります。さらに、ピロリ菌感染は胃がんのリスクファクターですし、萎縮性胃炎になっていると胃がんのリスクはさらに高くなります。近年ではピロリ菌を除菌することで、胃がんの発症の可能性を減らすことにつながることが知られています。ピロリ菌感染と言われた方は積極的に治療を行いましょう。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、胃カメラ検査での観察で萎縮性胃炎の有無が重要となります。疑いがある患者様を対象として、実際のピロリ菌の感染の有無を調べる検査を行います。ピロリ菌に感染していることが分かりましたら、除菌治療が必要になります。除菌治療では、抗生物質と胃酸分泌抑制薬を1週間飲んでいただきます。
当院では、ピロリ菌の検査と除菌治療を行っています。1回目の除菌がうまくいかなかった場合でも、薬を変えてもう一度除菌治療を試みることも可能です。

ピロリ菌感染の有無を調べる方法

ピロリ菌の検査には、胃カメラで胃の組織を調べる方法と、胃カメラを使わない方法があります。保険診療として検査や除菌治療を受けるには、胃カメラ検査が必要です。胃カメラを受けない場合は、自費で検査や除菌治療をすることになります。

胃カメラ検査ついて

胃カメラ検査で組織を採る検査方法

迅速ウレアーゼ検査

ピロリ菌が持つウレアーゼという、酵素の活性を測る検査です。ウレアーゼは尿素を強アルカリ性のアンモニアに変えて、周りの胃酸を中和します。この検査では、特別な液体を使ってすぐに結果を調べることができます。ただし、除菌治療の効果を確認する検査として行うことはできません。

鏡検法

採った組織をホルマリンで固め、顕微鏡でピロリ菌がないかを調べる方法です。

胃カメラ検査を実施せずに行える検査方法

尿素呼気試験法

特殊な尿素製剤を飲んだ前の呼気と、飲んだ後の呼気を採って調べる検査です。30分ぐらいで結果が出ます。精度も高いことから、除菌治療に成功したかどうかをチェックする時にも活用されます。当院では、この検査方法を中心にピロリ菌感染検査を行っています。ただし、検査を受ける4時間前から食事を抜く必要があります。

血中抗ピロリ菌抗体測定

血液の中に、ピロリ菌に対するIgG抗体があるかどうかを調べる検査です。食事や薬の影響を受けません。しかし、除菌しても抗体価がすぐに下がらないので、除菌の判定には使えません。

尿中抗ピロリ菌抗体測定

尿の中にピロリ菌に対する抗体があるかどうかを調べる検査です。血液検査と同じく、食事や薬の影響を受けません。検診や人間ドックではよく、スクリーニング検査として実施されています。

便中ピロリ菌抗原測定

便中にピロリ菌の抗原があるかどうかを調べる検査です。信頼性が高く、食事制限する必要もありません。子供にも受けやすい検査で、感染の有無や除菌の判定にも使えます。

ピロリ菌検査を保険適用で受けるにはどうすればいいのか

胃カメラ検査で慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの疾患が見つかると、ピロリ菌検査が保険適用で受けられます。以前は慢性胃炎の診断を受けても保険適用されませんでしたが、平成25年から制度が変更され、慢性胃炎でも保険適用で受けられるようになりました。
胃カメラ検査で慢性胃炎(萎縮性胃炎)と検査でピロリ菌感染が確認されましたら、保険で除菌治療が受けられます。

6ヶ月以内に胃カメラ検査を受けた方へ

6ヶ月以内に受けた胃カメラ検査で慢性胃炎と診断されましたら、保険適用でピロリ菌の検査が受けられます。もしピロリ菌が見つかりましたら、除菌治療も保険適用されます。

保険適用される回数

除菌治療は1回で上手くいかないこともあるため、保険適用で2回まで受けることが可能です。日本では様々な薬が使われていますが、当院では「ボノプラザン」という除菌率が最も高い薬を使っています。
この薬で1回目の治療をした場合、92%の方が除菌に成功します。1回目で除菌できなかった方は、別の抗生剤を使って2回目の治療をします。2回目の治療では、90-95%の方が除菌できます。3回目以降の治療も可能ですが、その場合は保険外診療となるため、ご自身で費用を全額お支払いいただきます。

ピロリ菌検査・除菌治療が自費診療になる条件

胃カメラ検査は、ピロリ菌の検査や除菌治療を保険適用で受けるために必要です。胃カメラ検査をせずにピロリ菌検査や除菌治療を受けると、全額自己負担で費用を払わなければなりません。
また、保険適用で除菌治療を受けることができるのは2回までです。3回目以降は保険適用されませんので、自費診療になります。
さらに保険適用で除菌治療をする時は、クラリスロマイシン(マクロライド系抗生剤)やアモキシシリン(ペニシリン系抗生剤)、メトロニダゾール(抗原虫剤)の抗生剤しか使えません。これらの薬にアレルギーがある方は、他の薬が必要になりますので自費診療の扱いとなります。

除菌治療後における注意点

除菌に成功した後でも、除菌されるまでに受けたダメージは残っています。そのため胃がん発症のリスクはゼロになりません。特に、下記の項目にあてはまる場合は、定期的に胃カメラ検査を受けることをお勧めします。

  • 年齢が高い方
  • 胃がんの経験がある方
  • 胃がんになったご家族・親戚の方がいる方
  • 除菌する前から高度な萎縮、腸上皮化生があった方

当院では、除菌治療が成功した後も、しっかりとサポートしています。何か不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。